#01 スタンダードカスタムプラン事例

加藤さんのカスタム

加藤さんのプロフィール

加藤さんは、フリーランスのパタンナーです。
現在はメンズとレディスをほぼ半分ずつ手がけ、東京コレクションに参加するデザイナーブランドから、大手アパレル企業の案件まで、幅広いクライアントの仕事に対応しています。
フリーランスになる前は、ドレーピングから入る仕事を中心に経験してきました。
現在は、アイテムやブランドの特性に合わせて、平面作図と立体確認を使い分けながら、ケースごとに最適な方法でパターンを製作しています。

仕事の基準として、納得できるメンズボディへ

加藤さんがTDFに持ち込んだのは、購入して間もないメンズボディでした。
既製のボディとしては成立しているものの、実際に仕事で使ってみると、どうしても違和感が残ったといいます。
特に気になったのは、肩まわりの形状でした。
肩の傾斜や張り出しが強く、ボディ上で修正を確認しづらい。
さらに、ドレーピングの土台としても扱いにくく、加藤さんが必要とする判断がしにくい状態でした。
「選択肢がない以上、このボディを使うしかない」と思っていた加藤さん。
しかし、仕事の基準として使い続けるには、どうしても納得しきれない部分がありました。
そこで、購入したメンズボディをTDFに持ち込み、加藤さんの仕事に合わせたカスタムを行うことになりました。

どのようにカスタムしたのか

加藤さんのご要望に合わせて、まず首の前傾を適度に修正しました。
そこから肩傾斜とのつながりを見ながら、肩甲骨まわりの造形を調整し、肩まわりに出ていた強い厚みをほどよく抑えていきました。
また、ヒップについては、丸みが強く、加藤さんが求めるメンズボディのバランスとは異なっていたため、形状を見直しました。
筋肉のつき方や腰まわりからヒップにかけての印象を整え、よりシャープで、メンズの服を確認しやすいヒップラインへと作り直しました。

服を着たときの自然さと、裁断用ボディとしての機能

加藤さんがこのボディについて印象的に話してくれたのは、
「人が着ているように見えるのに、裁断用ボディとしてもきちんと機能している」
という点でした。
単に人体に近いだけではなく、服を着せたときの見え方が自然であること。
同時に、パターンを確認するための基準として使いやすいこと。
加藤さんが求めていたのは、Tシャツを着せたときにも、シルエットがきちんとかっこよく見えるメンズボディでした。
今回のカスタムでは、その「服を着たときの自然さ」と「裁断用ボディとしての判断しやすさ」の両立を目指しました。

サイズについて

このボディは、一般的なMサイズやLサイズのどちらかに当てはめて作ったものではありません。
原型師の鶉と打ち合わせを重ねる中でも、最初から寸法の数字だけでサイズを決めていくのではなく、加藤さんが仕事で必要とするフォルムを探ることを大切にしました。肩まわり、身幅、ヒップの印象、服を着せたときの見え方。
それらを一つひとつ確認しながら形を整えていった結果、MとLの中間にあるような、加藤さんの仕事に合うバランスとサイズ数値へと着地しました。
M・Lといったサイズ表記に合わせるのではなく、必要な形を追求したボディです。

マイボディを使ってみて

「現時点で完璧と言い切れるものではないかもしれません。
けれど、自分にとってうれしい形ができたと思っています。
このボディは、自分の分身のようにも感じられます。
仕事をするときに、そばに信頼できる基準がある。
そう思えることで、安心してパターンに向き合えるようになりました。
とても満足しています。」

TDFから

加藤さんのボディは、既製のサイズや形に合わせるのではなく、日々の仕事で必要とされる判断のしやすさを大切にして作られました。
完璧な形を一度で決めるのではなく、使う人の仕事に寄り添いながら、その人にとって信頼できる基準をつくること。
加藤さんのカスタムボディは、フリーランスのパタンナーが多様な仕事に向き合うための、心強い道具となりました。